社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

電話 TEL 交通アクセス アクセス メニュー

社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

腎・泌尿器外科

放射線治療とハイドロゲルスペーサー留置術

根治的放射線治療は、転移のない前立腺癌に対する治療方法の一つで、手術療法が適応にならない患者さまに対する治療方法です。

前立腺の周辺臓器である直腸や膀胱に高い線量の放射線が照射されるため、放射線治療による副作用として放射線性直腸炎(下血・直腸潰瘍など:頻度2〜3%)や放射線性膀胱炎(難治性の出血性膀胱炎など:頻度2〜5%)が起こります。放射線治療によるこれらの副作用を減らす方法に下記の2つがあります。

放射線治療による副作用を減らす方法

ハイドロゲルスペーサー(SPACE OAR®)留置術

前立腺に隣接する直腸に高線量の放射線が照射されることで直腸障害が発生しやすくなりますが、この副作用の頻度を減らすために、もともとある前立腺と直腸との1㎜以下の隙間にハイドロゲルスペーサーを注入し、その隙間のスペースを10㎜程度に広げることで直腸に照射される放射線を減少させます。それにより、軽症の直腸障害は75%、中等症の直腸障害は100%低下すると報告されています。
  • (左図)SpaceOARシステム留置前
    (右図)SpaceOARシステム留置後
  • SpaceOARハイドロゲルの注入
挿入されるハイドロゲルは注入後、約3か月間スペースを維持し、その後約6か月かけて体内に吸収され消失します。
  • (左図)留置前
    (中図)留置後約3か月
    (右図)留置後約12か月
  • SpaceOAR留置後の線量計画の画像

金マーカー留置術

直腸内の便やガスの状況により前立腺の位置が動くため、金マーカーを留置することにより照射時に患者さんの前立腺の位置を正確に把握できるようになり、隣接臓器である直腸や膀胱への放射線の副作用を抑えることができます。
患者さまの状況により適応が異なりますので、この手技に関する詳細・ご質問は、担当医にお尋ねください。

いずれも、医療保険が適応されます。このスペーサー留置手技及び金マーカー留置術は2018年から保険適用になりました。当院では1泊2日の入院治療でおこなっております。

当科医師は、Boston Scientific社からSpace OAR®の施行医認定を受けています。