子宮脱・骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨膣固定術(RASC)
子宮脱・骨盤臓器脱という病気について
骨盤底には膀胱、子宮、直腸があり、骨盤底筋群という筋肉とそれをおおう筋膜が、ハンモックのように膀胱、子宮、直腸、膣を下方と側面から支えています。これらの筋肉や筋膜と、膣の周りの支持組織が弱くなって緩んだ状態になると、膣壁が裏返るように外に突出します。そこに膀胱や子宮、直腸が落ち込んだ状態が骨盤臓器脱です。脱出する臓器により子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤、腟脱と呼ばれ、これらが単独または同時に出現します。
正常な女性骨盤内
膀胱瘤
子宮脱
直腸瘤
症状
膣の中にものが降りてきたような異物感(子宮の下垂感)、外陰の異物感が主な自覚症状です。脱出した子宮頸部や膣が乾燥して刺激に弱くなり、出血やおりものの増加をみることもあります。膀胱瘤になると尿がすっきり出ない感じや、頻尿、尿失禁などの排尿障害を伴うことがあります。
子宮脱・骨盤臓器脱の治療
下垂の程度が軽度であれば、膣や肛門周囲にある骨盤底筋群を鍛える体操などで進行を抑えることもありますが、薬で治ることはありません。治療は、ペッサリーを挿入する方法か、手術になります。
手術療法
骨盤底筋運動など保存療法で改善がみられない場合、排尿や排便、性交渉など、日常生活において困難が生じる場合、ペッサリーによるびらんや潰瘍で出血が多い場合は、手術療法を検討します。
腹腔鏡下仙骨膣固定術およびロボット支援下仙骨膣固定術
子宮体部(と希望に応じて卵管・卵巣)を切除してから、残した子宮頸部と膣の前壁に、人工素材(ポリプロピレン等)を網状にしたメッシュシートの端を縫い付けて固定し、もう一方の端を仙骨内側の岬角という場所に縫い付けて固定する方法です。かつてはお腹を大きく切る開腹手術で実施していましたが、腹腔鏡手術の発展により、腹腔鏡で実施するようになりました。当院では、福岡県内ではまだ実施施設の少ないロボット手術(RASC)で行っております。
子宮体部(卵巣、卵管)を切除
メッシュで子宮頸部を吊り上げ、固定
へその高さで4〜5ヶ所に5〜12㎜に穴を開け、そこにロボットの鉗子を挿入するトロッカーという筒状の装置を腹腔内に挿入します。これらのトロッカーから内視鏡カメラ、ロボット用の鉗子などを挿入して、腹腔内で手術操作をします。またそれ以外に、同じ高さで助手が手伝うための12㎜の穴を開けます。手術は術者が操作するロボット(daVinci Xi)が行います。
トロッカーを入れるための穴の場所
手術は術者が操作するロボットが行います
腹腔鏡手術で行うため、傷が小さくて目立たず、術後の痛みも比較的軽度です。術後の経過が順調であれば、手術後4〜5日目に退院します。
手術の適応となる場合
まずは当院婦人科にご連絡いただき、予約の上、診察を受けてください。状況次第で腎・泌尿器外科を受診し手術を検討することになります。
この手術の適応となる場合、担当医より手術の内容や手順についてご説明します。実際にどのような内容や方法になるか、その後の経過などは、患者さまそれぞれの病気や身体の状態によって大きく異なります。担当医から具体的な説明を受けてください。
この手術の適応となる場合、担当医より手術の内容や手順についてご説明します。実際にどのような内容や方法になるか、その後の経過などは、患者さまそれぞれの病気や身体の状態によって大きく異なります。担当医から具体的な説明を受けてください。