関節症センター

股関節、膝関節外科を中心とした関節症の治療を行っています。
重度の変形性股関節・膝関節症の手術の回避・延期を目指して2007年から日本の整体領域で開発された骨盤再調整法を取り入れた運動療法であるPSTP-Rセラピーを開始して以来、“本当に必要な手術かどうかを適切に判断し、可能な場合は手術の回避・延期に務める”医療を行っています。
「PSTP-Rセラピー」と「安定型靴への変更」による18年間の総括
股関節・膝関節の痛みとレントゲン上の関節軟骨の摩耗(すり減り具合)は必ずしも一致せず、中には関節周囲の組織に起因するものもあり、このような症例では無理に人工関節手術・骨切り術をせずとも、「PSTP-R(Pericapsular Soft Tissue and Pelvic-Realignment:関節包周囲組織および骨盤再配列)セラピー」や「安定型靴への変更」などの保存的治療で症状が改善するものがあります。逆に関節軟骨の摩耗程度、変形度によっては人工関節手術によって劇的に症状が改善するものもあります。両者の鑑別診断は必ずしも容易ではなく、CTやMRI等の検査も行い慎重に見極めることが大事であると考えています。とくに診療の中で時間を割いての詳細な問診による“起立時痛”と“歩行時痛”の検討は、患者さんの良好な経過につながることが多いことを経験しました。
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関節症センター長
林 和生
はやし かずお
出身大学 九州大学卒 資格 医学博士、日本整形外科学会専門医(指導医講習会受講済み)、日本リウマチ学会リウマチ専門医、日本リウマチ学会指導医 所属学会 日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本股関節学会、西日本整形・災害外科学会
変形性股関節・膝関節症の診断と治療
初診で行うMRI検査について
当科では初診時に下記疾患の除外診断のためレントゲンのみでなくMRI検査を原則として行なっています。
- 股関節およびその周辺に悪性疾患が疑われる病態
- 大腿骨頭壊死
- 大腿骨頭脆弱性骨折
- ペルテス病
- 関節リウマチ
- 感染性疾患
病態と治療の概要
浅間総合病院 整形外科との共同研究の取り組み
当科における18年間の臨床経験からの考察
2007年から2017年までPSTP-Rセラピー、2018年からはPSTP-Rセラピーと「いい靴の選び方」の併用療法に取り組んできました。この間、約4,000例の治療経験から「軟骨消失と痛み」の関係については次の仮説を考えています。
研究・普及活動
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2023年からベルギー Liège大学Henrotin 教授と「不適切な人工関節手術を防止する新しい治療戦略」について作成した論説が、Narrative ReviewとしてCurrent Medical Research and Opinionに掲載されました。
<Yves Henrotin 教授のプロフィール>
https://www.gigabiomedaqu.uliege.be/cms/c_4735785/en/dr-yves-henrotin?id=c_4735785(外部サイトへ移動)
★Henrotin教授の投稿が、Linkedinに掲載されました。
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7344398151014903809/(外部サイトへ移動)
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OARSI(世界変形性関節症会議)の組織委員(評議員)に選出されました。
2020年~2022年:Strategic Alliance Committee 組織委員
2023年~2025年:Nominating Committee 組織委員
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