社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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乳腺外科

若くて乳がんと言われたあなたへ(AYA世代の乳がん)

AYA世代とは

AYA(あや)世代という言葉を知っていますか?

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています。この世代の方に発生するがんは、小児に好発するがん(小児がん)と成人に好発するがんが若い時期に発症するものがあります。ここではおもにYA(Young Adult /若年成人)乳がんを中心に話しを進めます。

AYA世代は、多くの人にとって親から自立したり、生活の中心が家庭や学校から社会での活動に移行したりしていくなど、大きな転換期を迎える時期でもあります。このような時期にがんと診断されると、心身にさまざまな影響を受けることがあります。また、成人のがんに比べて情報が少なく見つけることが難しいなど、不安を抱く人も少なくありません。また、小児や高齢者とは異なる問題を抱えることがあるため、患者さん一人一人のニーズに合わせた支援が必要となってきます。

AYA世代がん患者,がん経験者,健康AYAの悩み 上位10項目
順位 治療中のがん患者
(n=207)
がん経験者
(n=136)
健康AYA
(n=200)
1 今後の自分の将来のこと 今後の自分の将来のこと 今後の自分の将来のこと
2 仕事のこと 不妊治療や生殖機能に関する問題 仕事のこと
3 経済的なこと 仕事のこと 経済的なこと
4 診断・治療のこと 後遺症・合併症のこと 健康のこと
5 不妊治療や生殖機能に関する問題 体力の維持・または運動すること 学業のこと
6 家族の将来のこと がんの遺伝の可能性について 家族・友人など周囲の人との関係のこと
7 後遺症・合併症のこと 結婚のこと 体力の維持,または運動すること
8 生き方・死に方 生き方・死に方 容姿のこと
9 容姿のこと 容姿のこと 家族の将来のこと
10 がんの遺伝の可能性について 経済的なこと 自分らしさ
  • AYA世代は15〜39歳と定義した
  • 「がん患者」は調査時に医療機関においてがん治療中もしくはがん治療を終了して1年以内の人
    「がん経験者」はがん治療を終了して1年以上が経過した人
    「健康AYA」はがん罹患経験のない人
  • がん患者,がん経験者には,「その他」を含む23項目より上位5項目を選択。健康AYAはがん患者・がん経験者の選択項目より疾患・治療に関連する5項目を除く18項目のうち上位5項目を選択。各項目の選択度数の多い順に表を作成した。

「医療従事者が知っておきたいAYA世代がんサポートガイド」書籍(金原出版)より引用

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仕事とお金の問題

がん患者の約3分の1が、就労世代(20歳〜64歳)です。がん診断や治療による仕事の中断は、患者本人やその家族の経済的な問題へと発展します。がんと診断された時、患者は精神的に強いショックを受けますが、そのような中で、治療の選択や、治療が心身に与える影響や日常生活に与える影響まで、思い巡らすことは難しいといえます。

現に、がん診断時に仕事をしていた成人患者950人の約4割が「職場に迷惑をかけたくなかったから」などの理由で、治療開始前に離職していたという実態があります。また、復職しても、約2割の患者が病気を理由に離職していることから、がん診断時および復職前後に適切な支援を行うことが必要であると考えられます。

AYA期(15歳〜39歳)発症がん経験者の約40%が、病気体験は就労計画にネガティブに影響したと考えています。がんにかかったことがない一般市民と比較した場合、がん経験者が仕事に就いていない割合が高いことも示されています。就労問題はAYA世代がん経験者の重要な問題の1つとして認識されてはいるものの、多くの医療者は、AYA世代がん経験者が就労支援を必要としているとは認識していないことが多いと言われています。
 

AYA世代がん患者の経済的状況のアンケート調査によると、がんの治療中に医療費の負担が「大きい」と回答したものは81.5%でした。少数の方ですが経済的負担により治療内容・治療法の変更をせざるを得なかった患者さんもいます。それらの費用負担に対して、高額療養費制度などを88.3%が活用している一方で、知らなかったという理由で35.7%が利用できていませんでした。経済的な悩みについては、79.8%が相談をしていません。多くは「相談する必要がなかった」「自分で解決できる問題だったので相談しなかった」と回答しています。

その中でも「相談したかったが相談する内容ではないと思った」「誰に相談したらよいかわからなかった」「医療関係者に話し合ったり、相談できる雰囲気がなかった」「話し合いのきっかけを医療関係者側からつくってもらいたかった」を相談しなかった理由に挙げており、相談のニーズが医療者側に伝わっておらず、支援につながっていない現状が考えられました。現在利用できる制度がいろいろあります。当院のソーシャルワーカーに相談ください。

「医療従事者が知っておきたいAYA世代がんサポートガイド」書籍(金原出版)、「多職種連携による就労支援 がんサバイバーシップケアの視点から」月刊保団連No.1347より引用

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恋愛・セクシュアリティ

恋愛や性行為は生活の大切な要素です。しかし、病気や治療が私たちの性生活にどのような影響があるのか、患者と医療者がざっくばらんに話し合う機会はほとんどありません。その結果、乳がんと性について、治療を受けるご本人やパートナーに正確な情報が伝えられず、さまざまな誤解が生まれていました。「性生活によってがんの進行が早まる」というのも、そのような誤解のひとつです。

また、AYA世代の恋愛や性について考える時に重要なのは、多様性です。15〜39歳という広い年齢幅の中で、性的嗜好、性的知識、パートナーの有無や性体験の有無、婚姻状況など条件は様々であり、直面する問題も異なっています。
現状では、恋愛・セクシュアリティに関する問題は切実な問題でありながら、情報源が少なく、取り上げられることが少ない問題です。
「医療従事者が知っておきたいAYA世代がんサポートガイド」書籍(金原出版)、「幸せな性へのアドバイス」より引用

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子どもの支援

20〜30代のAYAがん世代には、子育て中の方も少なくありません。国立がん研究センター中央病院に入院する若年成人がん患者のうち、18歳未満の子どもがいる患者の割合は約3割だったという報告があります。子どもに自分のがんのことを伝えるのか、伝えないのか。親ががんになった子どもを、周囲はどのようにサポートしていけばいいのか。今、大きな課題となっています。

がんという情報を与えられない時、子どもたちは、家族の変化の理由を持てる知識を総動員して想像します。子どもたちは自分の悩みについて、誰にも相談することはないでしょう。お父さんとお母さんが自分に話してくれないということは、聞いてはいけないことだと思ってしまうからです。そのような不安をひとりきりで抱えることは、子どもたちにとっては大きな負担になります。
それでも、ある日ふとお子さんの変化に気づくことができたとしましょう。「どうしたの?」とあなたは声をかけます。でも、お子さんはあなたを心配させたくないがために、「大丈夫だよ」と何でもないふりをしたり、明るく振る舞うことで取りつくろったりするでしょう。あなたが自分のがんを伝えづらいように、お子さんも自分の「不安」を言葉にしづらくなってしまうのです。

どちらも相手を思う気持ちの表れであることに変わりありませんが、こうした状況が続けば続くほど、親子間のコミュニケーションは難しくなってしまいます。体調が悪い親を気づかって、学校の行事に来てほしいと言えない。何か大変な病気なのではないかと想像し、病気の話題が出てくるのを恐れた結果、親子の会話を避けるようになってしまう。そのようなお子さんがいます。
「ほかの子どもの親はみんな元気なのに、自分は具合が悪いから、一緒に遊んであげることができない」「入院ばかりで、いつも寂しい思いをさせてしまっている」がんが子どもに与える影響を考えて、自分ががんになったことを責める親御さんはとても多く、その気持は痛いほどよくわかります。でも、だからこそ声を大にしてお伝えしたいのは、親ががんになることは、子どもにとってマイナスの経験ばかりではないということです。

専門家の視点から考えると、親ががんになるという経験は子どもたちにとって、人生の困難な出来事を乗り越える力を養い、精神的に成長するチャンスになるのです。壁にぶつかった時に、その困難を乗り越えるための力。そして、それを支える自信を育むチャンス。それこそが、本当に大切な贈り物なのです。それを与えるためには、早い段階から子どもにがんのことを伝えて、一緒に話し合える関係性を築く必要があります。
実際に、あらゆる研究調査が、家族がオープンにコミュニケーションを取ることで、がんにより良く対応していけることを示しています。
「がんになった親が子どもにしてあげられること」より引用

【 参考情報(外部サイトへ移動します) 】

  • 「がんになった親が子どもにしてあげられること」書籍 大沢かおり著 ポプラ社
  • HopeTree がんになった親を持つ子どもへのサポート情報サイト 
    https://hope-tree.jp/