社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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心臓

労作性狭心症(安定狭心症)

1.疾患の概要

労作性狭心症(安定狭心症)は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が、動脈硬化などにより狭くなることで、運動時や階段昇降時などに心筋への血流が不足し、胸の圧迫感や痛みなどを生じる病気です。

症状は、一定以上の労作で出現し、安静にすると数分以内に改善することが一般的です。胸痛の頻度、持続時間、強さが比較的安定している点が特徴です。一方で、症状の回数が増える、安静時にも症状が出る、痛みが強くなるといった変化がある場合は、不安定狭心症や心筋梗塞への移行が疑われることがあり、早急な評価が必要です。

2.原因と症状

主な原因は、冠動脈の動脈硬化です。冠動脈の内側にコレステロールなどを含むプラークがたまり、血管の内腔が狭くなると、運動時に必要な血液を心筋へ十分に送れなくなります。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、運動不足などは動脈硬化を進める要因とされています。

代表的な症状

  • 階段を昇る、坂道を歩く、重い物を持つなどの労作時に起こる胸の圧迫感
  • 胸の中央部が締め付けられるような感覚
  • 胸に重いものを押し付けられるような不快感
  • 胸の痛み
  • 左肩、左腕、首、のど、顎、歯、みぞおちなどへの痛みの広がり
  • 食後や寒冷時に症状が出やすい、または強くなる
  • 安静にすると数十秒から数分程度で症状が改善する
  • 高齢の方や糖尿病のある方では、典型的な胸痛が目立たないことがある

なお、冠動脈の狭窄や心筋虚血があっても自覚症状が乏しい場合があり、無症候性心筋虚血として治療の対象になることがあります。

3.検査

労作性狭心症が疑われる場合は、症状の出方を確認したうえで、心筋虚血の有無や冠動脈狭窄の程度を調べます。

問診

症状が出るタイミング、持続時間、痛みの性質、安静で改善するか、放散痛の有無、生活習慣病や喫煙歴などを確認します。

胸部X線検査

心臓の大きさ、心不全の有無、肺の異常などを確認するために行われることがあります。

心電図検査・運動負荷心電図

安静時および運動負荷時の心電図変化、不整脈の有無などを確認します。トレッドミル検査では、歩行などで心臓に負荷をかけながら評価します。

心臓超音波検査(心エコー)

心臓の大きさ、心筋の動き、弁の機能などを確認します。虚血に伴う心筋の動きの異常を評価することがあります。

冠動脈CT

造影剤を用いて冠動脈を撮影し、狭窄の有無や血管の状態を評価します。腎機能低下や造影剤アレルギーがある場合は、実施可否を慎重に判断します。

心筋シンチグラフィ

放射性医薬品を用いて、心筋への血流の状態や虚血の範囲を評価します。造影剤を使用しにくい場合などに検討されることがあります。

心臓カテーテル検査(冠動脈造影)

手首や足の付け根などの血管からカテーテルを挿入し、冠動脈の狭窄部位や程度を詳しく調べる検査です。治療方針の決定に用いられます。

FFR・iFRなどの機能的虚血評価

カテーテル検査中に、冠動脈の狭窄が実際に血流をどの程度妨げているかを評価する検査です。カテーテル治療やバイパス手術の必要性を判断する際に参考にされます。

4.治療

治療は、症状の程度、冠動脈狭窄の部位や重症度、心筋虚血の範囲、合併症の有無、全身状態などを踏まえて選択されます。薬物療法を基本とし、必要に応じてカテーテル治療やバイパス手術が検討されます。

薬物療法

胸痛発作を抑える目的で、硝酸薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬などが用いられることがあります。また、心筋梗塞の予防や動脈硬化の進行抑制を目的に、抗血小板薬やスタチンなどが使用されることがあります。

冠危険因子の管理

高血圧、脂質異常症、糖尿病の治療、禁煙、適度な運動、体重管理などを行います。これらは、再発予防や病状進行の抑制を目的とした重要な治療の一部です。

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

カテーテルを用いて狭くなった冠動脈を内側から広げる治療です。バルーンで拡張したり、必要に応じてステントを留置したりします。症状が強い場合、狭窄が高度な場合、心筋シンチグラフィやFFRなどで虚血が確認された場合に検討されます。

冠動脈バイパス手術(CABG)

カテーテル治療が適さない場合や、複数の冠動脈に病変がある場合などに検討されます。動脈や静脈を用いて、狭窄部位を迂回する新しい血流ルートを作る手術です。

不安定化が疑われる場合の対応

症状の頻度が増える、安静時にも胸痛が出る、症状が長く続くなどの場合は、不安定狭心症や心筋梗塞が疑われることがあります。その場合は、通常の外来評価ではなく、早急な医療機関での診療が必要となることがあります。

5.合併症

労作性狭心症では、冠動脈の狭窄や動脈硬化の進行により、以下のような状態に注意が必要です。

  • 不安定狭心症
    胸痛の頻度や強さが増す、安静時にも症状が出るなど、病状が不安定になる状態です。心筋梗塞へ進行する可能性があるため、早急な評価が必要です。
  • 急性心筋梗塞
    冠動脈が閉塞し、心筋への血流が途絶える状態です。強い胸痛が長く続く場合や冷汗、息苦しさを伴う場合は注意が必要です。
  • 不整脈
    心筋の血流不足により、脈の乱れが生じることがあります。動悸、めまい、失神などを伴う場合があります。
  • 心不全
    心筋虚血が続く、または心筋梗塞を合併した場合などに、心臓のポンプ機能が低下することがあります。
  • 無症候性心筋虚血
    心筋への血流不足があっても、胸痛などの自覚症状が目立たない状態です。高齢の方や糖尿病のある方では症状が典型的でないことがあります。
  • PCI後の再狭窄
    カテーテル治療を行った部位が、再び狭くなることがあります。治療後も定期的な診察や薬物療法の継続が重要です。

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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。