今、日本の医療は、「団塊の世代」がすべて75歳以上となる2025年には医療・介護にかかる財源や医療従事者を確保することは容易ではないと言われています。そこで国が医療政策として進めているのが、「病院完結型の医療」から「地域完結型の医療」です。これは短期的に集中した治療を行なって社会復帰させる医療から、高齢化に伴って慢性疾患や複数の持病を抱える人が増えることから、病気と共存しながら日々の生活がおくれることを目指した医療に大きく変わってきているということです。
そのような中で、さまざまな病気を抱える患者様の治療を行い、希望する場所にできるだけ早く帰っていただけるように、高度な医療を提供し続けることが、地域に根付いた救急病院である当院の役割であると考えています。そのためには、看護師も急性疾患だけでなく老人慢性疾患や重度の要介護者、認知症の患者様に対するケアなど、地域のニーズに見合った幅広く高い水準の看護を提供することが求められます。そしてそのサービスを切れ目なく効率的に提供できるようにすることも重要と考えています。そこで当院では、その役割を担う診療看護師を受け入れています。
診療看護師
時代に即した看護師の働き方
平成30年4月から診療看護師が活動しています

診療看護師が誕生した理由
診療看護師は、地域や診療科による医師不足や複雑化・多様化・重症化する医療の中で、患者様に効果的で効率的なケアを提供するためには、医学の知識をもち、看護と医学の両方の視点を持ち医療的介入ができる看護師が必要であるとの考えから、アメリカのナースプラクティショナー(Nurse practitioner:NP)を参考に誕生、日本では2010年より活動しています。2021年3月現在550名あまりのNPが病院、診療所、訪問看護ステーション、介護老人保健施設などで活動しています。
診療看護師への道
診療看護師(NP)は5年以上の看護師としての実務を経験したのち、大学院で2年間、医学の知識と技能を学びます。大学院を修了し、日本NP教育大学院協議会の資格認定試験に合格することで診療看護師として活動することができます。
診療看護師の活動

患者様やご家族の皆さまが安心して医療が受けられるように、医師と協働しながら特定行為をはじめとする一定範囲の診療と看護を日々行っています。現在は心臓血管外科で、入院患者様の治療が遅延なく提供できるように、患者様の診療と看護ケアを行っています。
日々の活動
時間 | 業務内容 |
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7:30 | ・情報収集、検査データの確認 ・カンファレンスと回診(火・金はICTと協働) 患者さまのスケジュールと治療方針の確認 診療行為(特定行為)の具体的指示と実施 ・回診時の診療録への記録 |
9:00 | ・情報収集、検査データの確認や追加 ・詳細な担当患者さまの診察 ・看護師や入退院支援担当者と患者情報の共有 |
午前中 | 患者さまの状態変化に関して看護師から情報伝達 ↓ ・診療看護師の早期介入が必要か判断: →医師不在時は対応可能であれば主治医に報告しつつ対処 →対応困難な場合は主治医に相談し医師とともに介入 |
12:00 | ・食事摂取状況を確認し食事形態の変更やST介入の検討 多職種や看護師カンファレンス、各種委員会や回診への参加 |
午後 | ・急患対応 ・各処置やケア、追加検査の確認 |
16:30 | ・日中の介入状況の確認 |
患者さまのスケジュールと治療方針の確認
詳細な担当患者さまの診察
看護師や入退院支援担当者と患者情報の共有