社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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股・膝・足

変形性膝関節症

1.疾患の概要

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が生じる病気です。軟骨は骨同士の摩擦を減らす役割を持っていますが、加齢や膝への負担などにより徐々に傷み、関節のすき間が狭くなったり、骨棘と呼ばれる骨の突出ができたりします。


初期には、立ち上がりや歩き始めに膝の痛みを感じる程度ですが、進行すると階段昇降や長時間の歩行が難しくなり、膝に水がたまる、膝が伸びにくい、O脚が目立つなどの症状が現れることがあります。

変形性膝関節症は中高年以降に多くみられる疾患で、特に女性に多い傾向があります。

症状の程度は、画像上の変形の強さと必ずしも一致しないため、痛みの程度、日常生活への影響、関節の状態を総合的に評価して治療方針を決めます。

実際の診断や治療内容は、症状、検査結果、年齢、活動量、持病などを踏まえて医師が個別に判断します。

2.原因と症状

変形性膝関節症の主な原因は、膝関節への長年の負担と関節軟骨の加齢性変化です。明らかな原因がなく加齢とともに起こるものを一次性変形性膝関節症、けがや病気などをきっかけに起こるものを二次性変形性膝関節症と呼びます。

発症や進行に関係する要因

  • 加齢
  • 女性
  • 肥満、体重増加
  • O脚などの下肢の変形
  • 膝への過度な負担がかかる仕事やスポーツ
  • 筋力低下
  • 半月板損傷、靱帯損傷、骨折などの既往
  • 関節リウマチ、痛風、偽痛風などの関節疾患
  • 遺伝的要因

代表的な症状

主な症状は、膝の痛みです。初期には、椅子から立ち上がる時、歩き始め、階段の上り下りなどで痛みを感じ、休むと軽くなることがあります。進行すると、歩行中や安静時にも痛みが出ることがあります。
そのほか、以下の症状がみられる場合があります。
  • 膝のこわばり
  • 膝に水がたまる
  • 膝の腫れや熱感
  • 膝を曲げ伸ばししにくい
  • 正座が難しい
  • 階段、特に下りで痛い
  • 膝を動かすと音がする
  • O脚が進む
  • 長く歩けない
  • 膝が不安定に感じる
急に強い腫れや熱感が出た場合、発熱を伴う場合、外傷後に歩けない場合は、感染性関節炎、骨折、痛風・偽痛風など別の疾患が関係していることもあるため、早めの受診が必要です。

3.検査

変形性膝関節症の診断では、症状の経過、痛みの部位、日常生活への影響、過去のけがや持病を確認したうえで、膝関節の状態を診察します。
主な検査には以下があります。

問診・診察

 
痛みが出る動作、歩行状態、膝の腫れ、可動域、O脚の程度、関節の不安定性、圧痛の場所などを確認します。

X線検査

変形性膝関節症の評価で基本となる検査です。関節のすき間の狭さ、骨棘、骨の硬化、下肢の変形などを確認します。立った状態で撮影することで、体重がかかった時の関節の状態を評価できます。

MRI検査

軟骨、半月板、靱帯、骨の内部の変化などを詳しく確認する検査です。半月板損傷、骨壊死、靱帯損傷などが疑われる場合や、症状とX線所見が一致しない場合に検討されます。

CT検査

 
骨の変形や関節の形を詳しく確認する目的で行われることがあります。手術前の評価に用いられる場合もあります。

血液検査

関節リウマチ、痛風、感染症など、ほかの関節疾患との鑑別が必要な場合に行われます。

関節液検査

膝に水がたまっている場合、関節液を採取して炎症の程度や結晶、感染の有無などを調べることがあります。
検査結果だけで治療方針が決まるわけではありません。痛みの程度、歩行能力、生活上の困りごと、保存療法の効果などを含めて総合的に判断します。

4.治療

変形性膝関節症の治療は、痛みの軽減、関節機能の維持、日常生活動作の改善、進行予防を目的に行います。基本的には保存療法から開始し、症状や変形が進行して日常生活への支障が大きい場合に手術療法を検討します。
主な治療には以下があります。

生活指導・体重管理

体重が増えると膝への負担が大きくなります。必要に応じて体重管理を行い、膝に過度な負担がかかる動作を見直します。長時間の立位、急な階段昇降、重い物を持つ動作などは症状に応じて調整します。

運動療法・リハビリテーション

太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋を中心に筋力を維持し、膝関節の動きを保つことが重要です。膝に過度な負担をかけにくい運動として、医師や理学療法士の指導のもとで、筋力訓練、ストレッチ、水中歩行、自転車運動などが検討されます。

装具療法

膝サポーター、足底板、杖などを用いて膝への負担を軽減します。O脚による内側への負担が強い場合に、足底板が検討されることがあります。

薬物療法

痛みに応じて、外用薬、内服薬、坐薬などが使用されます。非ステロイド性抗炎症薬などは痛みや炎症を抑える目的で使われますが、胃腸障害、腎機能障害、心血管系への影響などに注意が必要な場合があります。持病や併用薬を踏まえて選択します。

関節内注射

ヒアルロン酸注射や、炎症が強い場合のステロイド注射などが検討されることがあります。注射の適応や間隔は、症状、関節の状態、全身状態を踏まえて判断します。

手術療法

保存療法で十分な改善が得られず、痛みや変形により日常生活への支障が大きい場合に検討されます。
代表的な手術には、骨の角度を調整して膝にかかる荷重を変える骨切り術、傷んだ関節の一部を人工関節に置き換える単顆型人工膝関節置換術、膝関節全体を人工関節に置き換える人工膝関節全置換術などがあります。
手術の種類は、年齢、活動量、変形の程度、痛みの部位、靱帯の状態、骨質、持病などを考慮して選択されます。
治療にはそれぞれ利点と注意点があります。手術を行った場合も、感染、血栓症、人工関節のゆるみ、可動域制限、痛みの残存などのリスクがあり、術後のリハビリテーションと定期的な経過観察が重要です。

5.合併症

変形性膝関節症が進行すると、膝関節だけでなく日常生活や全身の健康にも影響することがあります。
主な合併症・関連する問題には以下があります。
  • 歩行能力の低下
    痛みや変形により歩く距離が短くなり、外出や買い物、階段昇降が難しくなることがあります。
  • 筋力低下・関節拘縮
    痛みを避けて動かさない状態が続くと、太ももの筋力が低下し、膝の曲げ伸ばしがさらにしにくくなることがあります。
  • 転倒リスクの増加
    膝の不安定感、筋力低下、可動域制限により、転倒しやすくなる場合があります。
  • 反対側の膝、股関節、腰への負担
    痛みをかばう歩き方が続くと、反対側の膝や股関節、腰に負担がかかり、別の部位の痛みにつながることがあります。
  • 膝関節の変形進行
    O脚や関節のすき間の狭小化が進むと、保存療法だけでは症状の管理が難しくなることがあります。
  • 関節水腫・炎症の反復
    膝に水がたまりやすくなり、腫れや痛みを繰り返すことがあります。
  • 活動量低下による全身への影響
    運動量が減ることで、体重増加、生活習慣病の悪化、フレイルやサルコペニアの進行につながる場合があります。

また、手術療法を行う場合には、感染、深部静脈血栓症、肺塞栓症、出血、人工関節周囲骨折、人工関節の摩耗やゆるみ、再手術の可能性などがあります。リスクは患者さんの状態によって異なるため、治療前に十分な説明を受けることが重要です。

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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。