社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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緑内障

1.疾患の概要

緑内障とは、視神経が障害されることで視野が徐々に欠けていく病気です。多くの場合、目の中の圧力である「眼圧」が関係しますが、眼圧が正常範囲であっても発症することがあります。日本では、正常眼圧緑内障も多くみられます。

緑内障によって一度失われた視野は、一般的には元に戻すことが困難です。そのため、治療では「見え方を回復させる」ことよりも、眼圧を下げるなどして病気の進行を抑え、残っている視機能をできるだけ保つことを目的とします。
初期には自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断や眼科検査で指摘されて見つかる場合があります。進行すると、見える範囲が狭くなる、物にぶつかりやすい、読書や運転がしづらいなどの症状が現れることがあります。

緑内障には、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、続発緑内障、小児期にみられる緑内障など、複数のタイプがあります。治療方針は、緑内障の種類、進行度、眼圧、視野障害の程度、年齢、全身疾患などを踏まえて判断します。

2.原因と症状

緑内障の主な原因は、視神経が眼圧などの影響を受けて障害されることです。目の中では「房水」という液体が作られ、排出されています。この房水の流れが悪くなると眼圧が上がり、視神経に負担がかかることがあります。

ただし、眼圧が高い方すべてが緑内障になるわけではなく、眼圧が正常でも視神経が障害されることがあります。視神経の弱さ、血流、加齢、遺伝的要因なども関係すると考えられています。

発症や進行に関係する主な要因

  • 加齢
  • 眼圧が高い
  • 家族に緑内障の方がいる
  • 強度近視
  • 視神経乳頭の形態異常
  • 糖尿病、高血圧、低血圧などの全身疾患
  • ステロイド薬の使用
  • ぶどう膜炎などの眼の炎症
  • 目の外傷
  • 白内障の進行や眼の構造による隅角の狭さ

代表的な症状

緑内障の症状は、病型や進行度によって異なります。

慢性の緑内障では、初期には自覚症状がほとんどありません。片目に見えにくい部分があっても、もう片方の目で補ってしまうため、気づきにくいことがあります。進行すると、以下のような症状が現れる場合があります。

  • 視野の一部が欠ける
  • 見える範囲が狭くなる
  • 段差や物に気づきにくい
  • 人や物にぶつかりやすい
  • 読書や細かい作業がしづらい
  • 運転時に左右の確認がしづらい
  • 視力が低下したように感じる
一方、急性の閉塞隅角緑内障では、眼圧が急激に上昇し、以下のような症状が出ることがあります。
  • 急な目の痛み
  • 目の充血
  • かすみ目
  • 光の周りに輪が見える
  • 頭痛
  • 吐き気、嘔吐

このような症状がある場合は、急性緑内障発作の可能性があり、速やかな眼科受診が必要です。

3.検査

緑内障の診断では、眼圧だけでなく、視神経の状態、視野障害の有無、房水の出口である隅角の状態などを総合的に評価します。緑内障は慢性的に進行することがあるため、診断後も定期的な検査が重要です。

主な検査には以下があります。

視力検査・屈折検査

視力や近視・遠視・乱視の程度を確認します。見えにくさの原因が緑内障以外にないかを評価するためにも行います。

眼圧検査

目の中の圧力を測定します。緑内障の診断や治療効果の判定に重要な検査です。ただし、眼圧が正常でも緑内障が否定されるわけではありません。

細隙灯顕微鏡検査

角膜、水晶体、前房などを観察し、眼の炎症や白内障、隅角が狭くなる要因などを確認します。

眼底検査

視神経乳頭のへこみや形、網膜神経線維層の変化を確認します。緑内障では、視神経乳頭に特徴的な変化がみられることがあります。

OCT検査

網膜や視神経周囲の神経線維の厚みを詳しく測定します。早期緑内障の評価や進行の確認に用いられます。

視野検査

見えている範囲や感度を調べる検査です。緑内障による視野欠損の有無や進行度を評価します。定期的に行うことで、治療中の進行状況を確認します。

隅角検査

房水の出口である隅角が開いているか、狭くなっているかを確認します。開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の鑑別に重要です。

角膜厚測定

角膜の厚さは眼圧測定値に影響するため、必要に応じて確認します。

前眼部OCT・超音波検査など

隅角や眼の構造を詳しく評価する目的で行われることがあります。
検査結果は一度だけで判断するのではなく、視野やOCT所見の経過、眼圧の推移を確認しながら、治療目標や治療内容を調整します。

4.治療

緑内障の治療は、眼圧を下げて視神経への負担を減らし、視野障害の進行を抑えることを目的に行います。治療方法は、緑内障の種類、進行度、眼圧、生活状況、持病、薬の副作用などを踏まえて選択します。

主な治療には以下があります。

点眼治療

緑内障治療の基本となる治療です。房水の産生を抑える薬や、房水の排出を促す薬を使用して眼圧を下げます。
薬には、プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、α2作動薬、ROCK阻害薬などがあります。複数の成分を組み合わせた配合点眼薬が使われることもあります。
充血、しみる感じ、まつ毛の変化、まぶたの色素沈着、目の周囲のくぼみ、息切れ、脈が遅くなるなど、副作用が出る場合があります。持病や内服薬によって使用に注意が必要な点眼薬もあるため、医師の指示に従うことが重要です。

内服薬・点滴治療

白内障の進行を抑える目的で点眼薬が使われることがあります。ただし、すでに濁った水晶体を透明に戻す効果は期待できません。

レーザー治療

緑内障のタイプに応じて行われます。
開放隅角緑内障では、房水の排出を改善する目的で選択的レーザー線維柱帯形成術が検討されることがあります。
閉塞隅角緑内障やそのリスクが高い場合には、房水の通り道を確保する目的でレーザー虹彩切開術などが検討されることがあります。

手術療法

点眼やレーザー治療で眼圧が十分に下がらない場合、または視野障害の進行が抑えにくい場合に検討されます。
代表的な手術には、線維柱帯切開術、線維柱帯切除術、低侵襲緑内障手術、チューブシャント手術などがあります。病型や目の状態によって適した方法は異なります。

術後管理

手術後は、感染や炎症を予防するために点眼薬を使用し、定期的に診察を受けます。視力の安定には時間がかかることがあり、必要に応じて術後に眼鏡を調整します。

白内障手術を併用または検討する場合

閉塞隅角緑内障では、水晶体の厚みが隅角の狭さに関係していることがあり、白内障手術が眼圧管理に関係する場合があります。適応は目の構造や白内障の程度を踏まえて判断します。

緑内障治療では、点眼を継続することと定期検査を受けることが重要です。症状がないからといって自己判断で点眼を中止すると、視野障害が進行する可能性があります。治療中に見え方の変化、目の痛み、充血、点眼薬による副作用が疑われる症状がある場合は、医師へ相談してください。

5.合併症

緑内障で最も注意が必要なのは、視野障害の進行です。初期には気づきにくくても、進行すると日常生活に影響することがあります。高度に進行した場合、視力や視野が大きく損なわれる可能性があります。

主な合併症・関連する問題には以下があります。

  • 視野欠損の進行
    視野の一部が欠け、見落としが増えることがあります。進行すると中心視野に影響する場合があります。
  • 視力低下
    緑内障が進行すると、視力に影響することがあります。ただし、視力低下の原因が白内障や網膜疾患など別の病気である場合もあります。
  • 生活上の支障
    読書、歩行、階段昇降、運転、仕事、家事などに支障が出ることがあります。視野障害が進むと、転倒や事故のリスクにも関係します。
  • 急性緑内障発作
    閉塞隅角緑内障では、眼圧が急激に上昇し、目の痛み、頭痛、吐き気、視力低下などが起こることがあります。放置すると視神経障害が進む可能性があるため、緊急対応が必要です。
  • 治療に関連する合併症
    点眼薬では、充血、かゆみ、まぶたや目の周囲の変化、アレルギー、全身への影響などが起こる場合があります。
    レーザー治療では、一時的な眼圧上昇、炎症、見え方の変化などが起こることがあります。
    手術では、感染、出血、眼圧が下がりすぎる状態、眼圧の再上昇、白内障の進行、濾過胞に関連する合併症、角膜障害、再手術の可能性などがあります。
合併症の起こりやすさは、緑内障の種類や進行度、治療方法、目や全身の状態によって異なります。治療前には、期待される効果だけでなく、起こり得るリスクについても確認することが大切です。

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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。