社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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胸・肺

肺がん

1.疾患の概要

肺がんは、気管支や肺胞など肺の細胞ががん化して発生する悪性腫瘍です。一般に「肺がん」という場合は、他の臓器のがんが肺に転移したものではなく、肺に最初に発生する原発性肺がんを指します。
肺がんは、組織型により大きく「非小細胞肺がん」と「小細胞肺がん」に分けられます。非小細胞肺がんには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどがあり、肺がんの多くを占めます。小細胞肺がんは進行が速く、リンパ節や他臓器へ転移しやすい傾向があり、非小細胞肺がんとは治療方針が異なります。
肺がんは早期には自覚症状が乏しいことが多く、検診や他の病気の検査で偶然見つかることがあります。一方で、進行すると周囲の組織へ広がったり、リンパや血液の流れに乗って脳、骨、肝臓、副腎などへ転移したりすることがあります。治療方針は、組織型、病期、遺伝子変異やPD-L1などのバイオマーカー、年齢、呼吸機能、合併症、全身状態を総合的に評価して決定します。

2.原因と症状

肺がんの主な危険因子として喫煙が挙げられます。喫煙期間が長い、喫煙本数が多いほど発症リスクが高くなるとされています。また、受動喫煙も肺がんのリスクに関係します。喫煙以外では、アスベスト、ラドン、ヒ素などへの職業的・環境的な曝露、大気汚染、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などの呼吸器疾患が関与することがあります。なお、喫煙歴がない方にも肺がんが発生することがあります。
早期の肺がんでは症状がないことが少なくありません。進行に伴い、長引く咳、痰、血痰、胸痛、息切れ、発熱、倦怠感、体重減少などがみられることがあります。腫瘍の場所によっては、声がかすれる、顔や首がむくむ、動悸がするなどの症状が出ることもあります。
転移を伴う場合には、転移先に応じた症状が現れることがあります。骨転移では痛み、脳転移では頭痛、吐き気、麻痺、けいれん、意識障害などがみられる場合があります。ただし、これらの症状は肺がんに特有ではないため、画像検査や病理検査による確認が必要です。

3.検査

肺がんが疑われる場合、まず胸部X線検査や胸部CT検査などの画像検査で、病変の位置、大きさ、周囲への広がりを確認します。CT検査は、胸部X線では分かりにくい病変やリンパ節の状態を評価するために用いられます。
病期を調べるためには、PET-CT、頭部MRI、腹部CT、骨シンチグラフィなどを組み合わせて、リンパ節転移や遠隔転移の有無を確認します。病期は、腫瘍の大きさや広がりを示すT因子、リンパ節転移を示すN因子、遠隔転移を示すM因子をもとに判定され、治療方針の決定に関わります。
がんの確定診断には、細胞や組織を採取して顕微鏡で確認する病理検査が必要です。方法としては、喀痰細胞診、気管支鏡検査、CTガイド下経皮肺生検、外科的生検などがあります。リンパ節転移の確認が必要な場合には、超音波気管支鏡下針生検などが行われることもあります。
採取した組織では、がんの種類を調べるだけでなく、EGFR、ALK、BRAFなどの遺伝子変異や、免疫チェックポイント阻害薬の適応判断に関わるPD-L1などを確認することがあります。血液検査ではCEA、CYFRA、SCC、NSE、ProGRPなどの腫瘍マーカーを測定することがありますが、早期発見や確定診断を単独で行う検査ではなく、他の検査結果とあわせて評価します。

4.治療

肺がんの治療は、手術療法、放射線療法、薬物療法を単独または組み合わせて行います。治療選択は、非小細胞肺がんか小細胞肺がんか、病期、がんの性質、呼吸機能、全身状態、合併症などを踏まえて検討します。
非小細胞肺がんでは、比較的早期で手術に耐えられる全身状態であれば、手術が検討されます。標準的には、がんを含む肺葉切除とリンパ節郭清が行われます。病変の大きさや位置、呼吸機能によっては、区域切除など肺を温存する手術が検討される場合もあります。手術後の病理結果により、再発予防を目的とした補助薬物療法が行われることがあります。
手術が難しい早期肺がんでは、定位放射線治療などの放射線療法が選択肢となることがあります。局所進行肺がんでは、放射線療法と薬物療法を組み合わせる化学放射線療法が行われることがあります。骨転移や脳転移、出血、気道狭窄などに対しては、症状緩和を目的に放射線治療が用いられることもあります。
薬物療法には、細胞傷害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。分子標的薬は、がん細胞の遺伝子変異などを確認したうえで適応を判断します。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫の働きを利用してがん細胞を攻撃しやすくする治療で、病状や検査結果に応じて使用が検討されます。
小細胞肺がんでは、薬物療法が治療の中心となります。胸部の限られた範囲にとどまっている場合には、薬物療法と放射線療法を併用することがあります。ごく早期で明らかなリンパ節転移がない場合には、手術が検討されることもあります。
また、手術や放射線治療が難しい場合などに、病変の大きさ、数、位置を慎重に評価したうえで、ラジオ波焼灼療法などの画像下治療が検討されることがあります。適応は限られるため、標準治療との関係を含めて個別に判断されます。

5.合併症

肺がんが進行すると、気管支の閉塞による無気肺や肺炎、胸水、血痰・喀血、呼吸困難、胸痛などを起こすことがあります。周囲の神経や血管に影響すると、声のかすれ、顔や腕のむくみ、嚥下障害などがみられる場合があります。
遠隔転移に伴う合併症としては、脳転移による頭痛、けいれん、麻痺、意識障害、骨転移による痛みや骨折、脊髄圧迫、肝転移による肝機能障害などがあります。進行により体重減少、倦怠感、食欲低下など全身症状が強くなることもあります。
治療に伴う合併症や副作用もあります。手術では、出血、感染、肺炎、肺瘻、呼吸機能低下、不整脈などが起こる可能性があります。放射線療法では、皮膚炎、食道炎、放射線肺炎などがみられることがあります。薬物療法では、吐き気、食欲低下、骨髄抑制、感染リスク、脱毛、皮膚障害、下痢、間質性肺炎、免疫関連副作用などが生じる場合があります。気管支鏡検査や針生検では、出血や気胸などが起こることがあります。
合併症や副作用は治療内容や患者さんの状態によって異なるため、治療前に目的、期待される効果、起こりうるリスク、通院・入院の必要性について確認することが重要です。

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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。