社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
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治療内容について

脳血管内治療について

 脳血管外科の対象疾患は、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻、頭頚部主幹動脈狭窄です。
 脳動脈瘤は開頭手術によるネッククリッピング術と血管内治療によるコイル塞栓術があります。脳神経外科専門医、脳血管内治療専門医により論議し、患者さんの病態と希望から経過観察を含め治療法を選択しています。
 脳主幹動脈狭窄に対しては、直達手術(頚動脈内膜剥離術、頭蓋内外動脈バイパス手術)に加え、2008年に保険認可された血管内治療による頚動脈ステント留置術を行っています。特に頚部血管の血行再建については、冠動脈狭窄病変、心疾患、末梢血管病変と密接にかかわる病態であり、脳血管外科と循環器科の診療が欠かせません。当院では頚動脈ステントを脳血管内治療医と心臓カテーテル専門医が共同で施行し、当院の最大の特徴と言えます。
 池友会では、福岡和白病院と福岡新水巻病院に脳血管内治療専門医が常勤し、新小文字病院、新行橋病院、新武雄病院では専門医が出張で治療を行っています。全国的に専門医が十分でない分野の中で、2010、2011年度の2年間に関連病院内で297件の脳血管内治療を施行しました(表)。新小文字病院では月に2回、新行橋病院では月に1回の専門外来(原田)を行っています。脳動脈瘤と頚動脈ステントの血管内治療と成績は別に提示します。

関連病院の疾患別の脳血管内治療の件数(2010、2011年度の2年間)
脳動脈瘤 106
 破裂(くも膜下出血)   31
 未破裂   75
脳動静脈奇形 4
硬膜動静脈瘻 9
慢性期脳血行再建 138
  頚動脈(頚動脈ステント)  113
  椎骨・鎖骨下動脈(頭蓋外)   15
 頭蓋内動脈   10
急性期脳血行再建(脳梗塞) 31
脳腫瘍の術前塞栓  9
合計 297

脳動脈瘤の血管内塞栓術

 脳動脈瘤の脳血管内治療(カテーテル治療)と私の治療方針を述べます。
 脳動脈瘤は、脳血管に“こぶ”ができ、その血管壁は弱く、破裂によりくも膜下出血を起こします。薬による治療で小さくなることはありません。そのため、5mm以上の脳動脈瘤では破裂予防の治療を検討します。治療法には開頭手術と血管内治療があります。血管内治療は大腿部の動脈から2-3ミリ径のカテーテルを脳動脈に誘導し、プラチナ製の“コイル”を瘤内に留置することで脳動脈瘤への血流を遮断し破裂を回避します。標準的な瘤では治療時間1時間30分、入院1週間です。
 脳動脈瘤コイル塞栓術の最大の魅力は「頭を切らない」で治せることです。70%の脳動脈瘤は治療可能と思っています。逆に部位や形状から30%の瘤は治療できません。一方、塞栓術には限界があります。1. 血管の曲がりが強い場合はカテーテルやコイルの誘導が難しく血管損傷の危険を伴う。2. 瘤の根元(ネック)が広い場合は完全に塞栓できない。3. 10mm以上の大きい脳動脈瘤では再発しやすく再治療が必要になる。という問題です。
 私の方針は、1. 破裂率の低い3-4mm以下の小さい瘤では治療は行わず、高血圧予防と禁煙。MRI検査やCT血管造影検査で経過観察。2. 開頭手術で安全に治療可能な瘤は開頭手術を優先。3.脳血管内治療は局部麻酔で神経症状を観察しながら施行。ただし痛くないように、怖くないように(眠くなる薬を使用しながら施行します)。恐怖心がある方、複雑な病変で局部麻酔では難しい場合には全身麻酔で施行。4. 治療中に迷ったときは神経後遺症を出さない安全策を優先。というものです。
 脳血管内治療の領域は機材の進歩が日進月歩であるため、「手術は不可能」、「開頭手術しかない」、と判断された方や、以前は治療不可能であっても進歩した機材とテクニックを使用すれば可能である病変の方を見受けられ、適切にアドバイスできますので受診ください。

関連病院の脳動脈瘤塞栓術の背景と成績(2010、2011年度の2年間)
女性:男性 73:33
年齢 平均61歳(27-89歳)
(未破裂瘤の年齢) 平均59歳(27-79歳)
瘤の大きさ 平均8.5mm(2-18mm)
破裂:未破裂 31:75
脳動脈瘤の部位
内頚動脈 56
 (傍鞍部) (31)
前大脳・前交通動脈 11
中大脳動脈 6
椎骨動脈 10
脳底動脈 20
後大脳動脈 3
 
手技成功 105 (99%)
ステント併用 4 (3.8%)
合併症
 術中破裂 3 (2.9%)
  永続する神経症状 1
脳梗塞 4 (3.8%)
  一過性の神経症状 3
  永続する神経症状 1
再発による再治療 1 (1.0%)
術後の破裂 0
破裂瘤(くも膜下出血)の重症度
 軽症(WFNS I-III) 12
 重症(WFNS IV,V) 19
破裂瘤の転帰
 社会復帰(mRS 0-2) 12
 重篤な後遺症(mRS 3-5) 12
死亡 7
WFNS; World Fderation of Neurosurgical Societies,
mRS; modified Rankin Scale

頚動脈ステント留置術

 頚動脈狭窄の血管内治療(カテーテル治療)と私の治療方針を述べます。
 頚動脈狭窄は、動脈硬化により頚部血管の狭窄をきたし、脳梗塞の原因となります。狭窄部にはコレステロール塊や固い成分が沈着し(プラークといいます)、剥離して脳血管に飛散します。頚動脈狭窄症の治療は、1.高血圧、脂質異常、糖尿病の治療、禁煙。2. 抗血小板剤を内服。3. それでも脳梗塞の原因となる可能性が高い方には血行再建(手術による頚動脈内膜剥離術、頚動脈ステント留置術)を考慮する。脳梗塞を起こし見つかった方(症候性)は50%以上の狭窄で血行再建を、偶然みつかった方(無症候性)は80%以上の狭窄で血行再建が推奨されます。最近ではMRIプラークイメージ撮影により、脳梗塞の原因となりやすいプラークが判別可能で手術適応の参考としています。
 頚動脈ステント留置術の最大の魅力は局所麻酔で、頚部を切らないで治せることです。治療時間1時間30分、入院1週間です。一方、限界もあり、特に術中に頚動脈プラークの飛散による脳梗塞の発症が最も頻度が高い合併症です。長期に確立されている頚動脈内膜剥離術には術中の脳梗塞合併症の面で劣ります。
 私の方針は、1. 狭窄率の低い方では高血圧、脂質異常、糖尿病の改善と禁煙。頚動脈エコー検査やMRI検査で経過観察。2. 頚動脈内膜剥離術で安全に治療可能な方は手術を優先。3.フィルター保護装置、バルーン保護装置を用いて、患者さんの病態に合わせた最善の血栓塞栓予防を用い、頚動脈を控えめに拡張する。
 「検査で頚動脈が少し狭いから」、「楽だから」という理由での治療はすすめません。生活習慣病の予防、抗血小板療法にかかわらず脳梗塞発症の危険性が高い方を対象としています。一方で、冠動脈疾患があり抗血小板剤の中止が困難な方、心疾患、呼吸器疾患により全身麻酔が困難な方、全身麻酔が負担となる高齢者にも治療可能であり、病態に応じて適切にアドバイスできますので受診ください。

関連病院の頚動脈ステント術の背景と成績(2010、2011年度の2年間)
男性:女性 101:12
年齢 平均 71歳 (57-89歳)
症候性:無症候性 73:40
狭窄率 平均 83% (50-100%)
麻酔;全身:局所 2: 111
血栓保護法(重複あり)
 近位遮断 63
 遠位フィルター 81
 遠位バルーン 23
手技成功 112 (99%)
合併症
 脳梗塞 3(2.7%)
  一過性の神経症状 1
  永続する神経症状 2

脳底動脈瘤

脳底動脈瘤の術前 脳底動脈瘤のフレーミングコイル 脳底動脈瘤の術後

内頚動脈瘤(傍鞍部)

内頚動脈瘤(傍鞍部)の術前 内頚動脈瘤(傍鞍部)のフレーミングコイル 内頚動脈瘤(傍鞍部)の術後

前大脳動脈瘤

前大脳動脈瘤の術前 前大脳動脈瘤の術後 前大脳動脈瘤のレントゲン

内頚動脈狭窄

内頚動脈狭窄

脳動脈瘤塞栓術

内頚動脈瘤
内頚動脈瘤
後大脳動脈瘤
後大脳動脈瘤
脳底動脈瘤
脳底動脈瘤

頚動脈ステント留置術

脳底動脈瘤の術前脳底動脈瘤のフレーミングコイル 脳底動脈瘤の術後
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