社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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消化器内科

内視鏡検査・治療について

消化管の内視鏡検査

上部内視鏡(胃カメラ)、下部内視鏡(大腸カメラ)で消化管をくまなく観察し、病気を見つけて診断する方法です。当院は「日本消化器内視鏡学会指導施設」に認定されています。

    • 胃潰瘍
    • 逆流性食道炎
    • 虚血性腸炎
    • 大腸ポリープ

上部内視鏡検査(胃カメラ)、下部内視鏡検査(大腸カメラ)は月曜日から土曜日まで毎日行っていますが、下部内視鏡検査は検査前日からの準備が必要なため原則予約制になります。下部内視鏡検査の時にみつかった大腸ポリープは、希望する方は検査中に処置具を用いて切除することも可能です。(偶発症のリスクが高いと判断した場合には行いません。)

希望すれば鎮静剤を使用して、苦痛の少ない検査も可能です。当院では半数以上の方が鎮静剤を希望されています。

鎮静剤とは、精神的・身体的に緊張を和らげる作用のあるお薬です。検査室で静脈注射を行い、その注射によって眠ってしまう方もいますが、ほとんどの方は“ぼんやりしている”“ウトウトしている”という状態で、検査を楽に受けることができます。使用した際にはリカバリールームで1時間以上休息した後に検査結果を説明し、帰宅して頂きます。

※鎮痛剤や鎮静剤を希望される場合は、車での来院を控えて頂いております。

胃癌、食道癌、大腸癌の内視鏡診断

食道癌、胃癌、大腸癌は、内視鏡検査技術の進歩により早期に発見できる症例が増えてきました。早期に発見された癌は、内視鏡治療で根治できる可能性があります。内視鏡治療は外科手術に比べて入院日数が短時間ですみ、体への負担が少なくてすみます。がんの早期発見や評価のために、色素内視鏡や画像強調内視鏡、超音波内視鏡といった方法も用いており、ご紹介します。

色素内視鏡

  • 【 コントラスト法 】

    青色の色素(インジゴカルミン液)を散布することによって腫瘍の凹凸を強調させ、形や範囲を明瞭化させます。

  • 【 反応法 】

    ヨードを食道に撒布すると、粘膜が茶色く染色されますが、がんの部分だけ染色されずに抜き出て見えます。食道癌の発見や範囲の診断に用います。

画像強調内視鏡

【 狭帯域光観察(NBI) 】

オリンパス社の画像強調内視鏡システムであり、狭帯域化された2つの波長の光を当てることによって、表面構造や血管をわかりやすくします。検査中にボタンひとつで切り替えることができます。NBIによって、発見が難しい癌をみつけたり、癌の範囲や深さの診断がしやすくなります。

  • 右:NBI画像
  • 右:NBI画像

超音波内視鏡検査(細経プローブ型)

通常の内視鏡にある鉗子口から細経超音波プローブを出して、消化管壁内の状況を観察する検査です。病気の性状や癌の深さの診断に使用します。

  • 細経超音波プローブ
  • 粘膜内の浅い癌
  • 胃壁の深くまで浸潤した癌

消化管の内視鏡治療

大腸ポリープの切除

大腸にできるポリープの多くは腺腫というタイプであり、将来的に癌になる可能性があるため、切除をお勧めしています。ポリープの大きさや数によっては外来でも切除可能ですが、切除後2周間は出血の可能性があるので、激しい運動、飲酒、刺激物の摂取、遠方への旅行・出張はお控えください。最近では後出血(切除後しばらく経過してから出血する合併症)を起きにくくするために、通電を行わずに切除するcold polypectomyという方法を行うことも多くなっています。

内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic mucosal resection:EMR)

ポリープの根本に生理食塩水等を注入し、スネア(円形状のワイヤ)をかけて絞扼し、通電して切除します。

Cold polypectomy

10㎜未満の小さなポリープが対象です。通電せず、機械的に切除します。

早期癌の内視鏡治療

食道癌、胃癌、大腸癌に対して内視鏡による治療を行っています。癌の大きさや形によっては大腸ポリープ切除と同じ方法(EMR)で切除することもできますが、EMRで対応できない癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection:ESD)という方法を行います。

ESDは専用の処置具を使用して病変をまとめて剥ぎ取る治療法です。取り残しが少なく、広範囲に拡がる病変に対しても切除することができ、切除後の詳細な病理検査も可能となります。

©おなかの健康ドットコム(OLYMPUS)

当院で治療した早期胃癌 ESD例

胃癌

当院で治療した直腸腫瘍(LST-G) ESD例

当院で治療した表在型食道癌 ESD例

胆道・膵臓の内視鏡

内視鏡的逆行性胆膵管造影:ERCP

©おなかの健康ドットコム(OLYMPUS)
レントゲン撮影のできる部屋で、専用の内視鏡(胃カメラ)を使用して行います。内視鏡を十二指腸まで挿入し、胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭部を観察します。造影チューブを総胆管内へ挿入し、造影剤を注入して胆管をX線撮影することによって胆管や胆嚢、膵臓の異常を詳しく調べることができます。

ERCPによる診断 胆管癌の診断

  • 造影剤により、胆管が狭くなっていることがわかります。
  • 癌が疑われた場合、細胞や組織を採取することができます。

ERCPによる治療 胆管結石の除去

(左図)©おなかの健康ドットコム(OLYMPUS)
胆管の出口(十二指腸乳頭)に切開術やバルーン拡張術を行い、総胆管内の結石をバスケットやバルーンカテーテルで除去します。

ERCPによる治療 ステント留置術

  • プラスチックスステント
  • 金属ステント
胆管内の結石を除去できない場合や癌による胆管狭窄に対して、胆汁が流れるようにステントを留置します。

超音波内視鏡下穿刺吸引法:EUSFNA

Endoscopic Ultrasound-Fine Needle Aspiration:EUSFNAとは、超音波プローブがついている特殊な内視鏡(胃カメラ)を使って、胃や十二指腸などの消化管内から消化管の外側にある臓器を観察し、針を刺して組織を採取する方法です。消化管粘膜下腫瘍(消化管の壁の中にある腫瘍)や膵腫瘍などは、CT検査やMRI検査だけでは診断が難しいこともあり、この方法で組織を採取できれば、より正確な診断ができます。

特に膵臓癌では治療方針や化学療法の選択をするうえで、組織学的な診断が重要とされています。

CT検査で膵臓に癌が疑われた症例

  • ©OLYMPUS

超音波内視鏡下で穿刺して組織を採取し、膵癌と確定診断できました。