社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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眼科

主な対応疾患

ドライアイ

目の表面には、涙液膜という涙の膜が覆っています。涙液膜は、表面から油層とたんぱく質などを含んだ水層の2層からなります。ドライアイでは、涙液膜が崩れやすく、その下の細胞に傷ができることがあります。

【 症状 】

ドライアイの症状は「目が乾く」だけでなく、「目がかすむ」、「まぶしい」、「目が疲れる」、「ごろごろする」、「涙が出る」、「目が赤い」など様々です。

涙液膜の崩れやすさは、涙を色素で染めて、目を開けたままにし、何秒で涙液膜が崩れるかを調べます。それと同時に、目の表面の傷もみることができます。涙の分泌をシルマーテストと呼ばれる検査で調べることもあります。治療は涙の不足成分を補う目薬、目の炎症を抑える目薬、涙点に栓(涙点プラグ)をして涙をためる治療などで改善を目指します。画面を見る作業やコンタクトレンズの装用を減らしたり、エアコンを調整したり、加湿器を使うことも効果があります。

白内障

水晶体というレンズの役割をする組織が白く混濁する疾患です。原因は加齢によるものが主ですが、その他、先天性、外傷、アトピー性、薬剤性などがあります。早い人では40代から、80代では100%の人で白内障を発症しています。

治療としては、初期は点眼薬などを用いて進行を遅らせることができる場合もありますが、進行を止めることはできません。進行した白内障に対しては、濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する方法が一般的です。当院では、日帰り手術、入院手術を選択することができます。

緑内障

眼圧の上昇により、視神経が圧迫され、次第に視野が狭くなっていく疾患で、我が国の 成人失明原因の第1位となっています。自覚症状としては、見えない場所が出現する、あるいは見える範囲(視野)が狭くなるといった症状が一般的です。しかし、初期は視野障害があっても全く自覚しないことがほとんどです。急激に眼圧が著しく上昇した場合は、眼痛・充血・目のかすみのほか、頭痛や吐き気を自覚することもあります。

緑内障は大きく2つに分類されます。

原発開放隅角緑内障

眼球内を流れている房水は、その排出口である線維柱帯を通って眼圧を保持していますが、線維柱帯が目詰まりを起こし、うまく房水が流されないために眼圧が上昇すると考えられています。このうち、眼圧が正常範囲にありながら視神経が障害されるタイプの緑内障を正常眼圧緑内障といいます。視神経の血液循環が悪かったり、遺伝や免疫、酸化ストレスなどいろいろな原因のために、通常では緑内障を起こさない程度の眼圧でも視神経が障害されるのではないかと考えられています。

原発閉塞隅角緑内障

隅角(房水の流出路)が狭くなり、ついには閉塞し、房水の流出が障害され、眼圧が上昇する緑内障です。急速に隅角が閉じてしまうことで、劇的に眼圧上昇をきたすことがあり、これを一般に急性緑内障発作と呼びます。急性発作では、眼痛・頭痛・吐き気などの激しい自覚症状が出現します。緑内障では眼圧検査、隅角検査、眼底検査、視野検査、光干渉断層計(OCT)を用いて、病状の評価や進行経過を確認します。治療はまず点眼薬で眼圧を下げることです。治療の目的は進行を止める、または遅らせることであり、回復させるものではありません。点眼薬でも眼圧が下がらない場合は、レーザー治療や手術療法を行います。

加齢黄斑変性症

加齢により網膜(眼の奥にある光を感じる組織)の中心に位置する黄斑に老廃物が蓄積することで網膜が障害され、視力低下を起こす疾患です。初期の自覚症状としては、物が歪んで見える、中心が見づらくなる、といった症状がみられます。人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しており、我が国の失明原因の第4位となっています。

加齢黄斑変性症には大きく分けると「萎縮型」と「滲出型」の2種類があります。

  • 萎縮型・・・網膜の組織が徐々に萎縮し網膜と黄斑が障害され、視力が徐々に低下していきます。現在のところ萎縮型に対する治療法はありません。
  • 滲出型・・・網膜の下にある脈絡膜に生じた異常な血管(脈絡膜新生血管)により、網膜が障害されます。新生血管は血液中の成分を漏出させたり、破れて出血を起こします。そのために網膜の機能が障害され、視力が低下します。

滲出型の加齢黄斑変性にはいくつかの治療法がありますが、多くは抗VEGF阻害薬の硝子体内注射が行われます。脈絡膜新生血管の発生には血管内皮増殖因子(VEGF)が関係していると考えられており、VEGFを阻害することにより脈絡膜新生血管を退縮させます。当院では主に、アイリーア、ルセンティスといった抗VEGF阻害薬を用いて治療を行っております。治療後も定期的に診察を行い、再発がみられれば、追加治療の必要があり、長期的な治療の継続が必要になります。

網膜静脈閉塞症

網膜に広がる静脈が詰まって、血流が低下するために網膜全体にあるいは網膜の一部に出血が生じ、視力低下を生じる疾患です。網膜静脈閉塞症は、詰まった静脈の場所により、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症と分類されます。症状は、詰まった血管によって様々で、視力低下が著しいこともあれば、視力の低下に気づかないこともあります。

原因としては、高血圧・動脈硬化などが挙げられます。血管が障害され、血液成分が漏出し網膜や黄斑にむくみが生じて視力低下をきたしている場合は、抗VEGF療法やステロイドを眼球の外側に注射することもあります。また硝子体出血や血管新生緑内障を予防するために、レーザー治療を行う場合があります。硝子体出血を生じた場合は硝子体手術を行い、出血の除去とレーザー治療を行うことがあります。

網膜動脈閉塞症

網膜に栄養を届ける動脈が詰まり、急激に視力低下を起こす疾患です。血管が詰まると眼に血液が流れなくなり、1~2時間で物をみるための細胞が死んでしまいます。そのため発症からすばやく治療を開始する必要があります。眼圧を下げると動脈が広がるため、眼球マッサージや眼の中の水を抜いて眼圧を下げたり、血栓溶解薬などを全身に投与したり、身体の酸素をすみずみまで行き渡らせる高圧酸素療法を行うこともあります。しかし、網膜の血流が改善されず、視力が戻らないケースが多いのが現状です。

黄斑上膜

網膜表面の中心にある黄斑の表面に薄い膜が形成される疾患です。膜が収縮すると、網膜に皺ができ、物が歪んで見えたり、視力低下を生じます。治療は点眼や内服薬で有効なものはありません。自覚症状が軽度の場合には経過観察を行いますが、病態が進行し、自覚症状の悪化がみられる場合は硝子体手術を行います。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病3大合併症のひとつで、我が国では成人の失明原因の3位に位置します。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したり詰まったりします。血管が詰まると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。また、出血すると、網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張り、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。

治療は、血糖コントロール、血圧コントロールなどの全身治療に加えて、網膜光凝固術、硝子体手術、抗VEGF薬の注射が行われます。糖尿病網膜症は、糖尿病になってから数年から10年以上経過して発症するため、かなり進行するまで自覚症状がない場合もあります。糖尿病の方は、目の症状がなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。