深部静脈血栓症(DVT)
1.疾患の概要
深部静脈血栓症(DVT)とは、主に下肢や骨盤内の深部静脈に血栓(血の塊)ができ、血管が詰まる病気です。ふくらはぎ、大腿部、膝の裏、骨盤内の静脈などに発生することが多く、まれに上肢に生じることもあります。
血栓が静脈内にとどまっている間は無症状のこともありますが、血栓がはがれて血流に乗り、肺の血管に詰まると肺塞栓症を起こすことがあります。長時間同じ姿勢で過ごすことが発症に関係する場合があり、旅行中に発症するものは「エコノミークラス症候群」「旅行者血栓症」と呼ばれることがあります。
血栓が静脈内にとどまっている間は無症状のこともありますが、血栓がはがれて血流に乗り、肺の血管に詰まると肺塞栓症を起こすことがあります。長時間同じ姿勢で過ごすことが発症に関係する場合があり、旅行中に発症するものは「エコノミークラス症候群」「旅行者血栓症」と呼ばれることがあります。
2.原因と症状
深部静脈血栓症は、血液が固まりやすい状態、静脈の血流が滞る状態、血管の内側が傷つく状態が重なることで起こりやすくなります。
主な原因・リスク要因には、以下のようなものがあります。
主な原因・リスク要因には、以下のようなものがあります。
- 手術後や入院中など、長時間安静が続く状態
- 長時間の飛行機・車移動など、同じ姿勢が続く状態
- ギプス固定、骨折などによる下肢の動きの制限
- がんの治療中またはがんに伴う凝固亢進状態
- 妊娠、経口避妊薬の使用
- 血栓性素因、凝固異常
- 高齢
- 中心静脈カテーテルやペースメーカーなどに関連した上肢の血栓
主な症状は以下のとおりです。
- 片側の下肢の腫れ、むくみ
- ふくらはぎや大腿部の痛み、圧痛
- 下肢のだるさ、重さ
- 皮膚の赤黒い変色、暗赤色の色調変化
- 慢性的なむくみに伴う皮膚の茶色い変色
- 下肢の左右差、ふくらはぎの太さの差
- 指で押すとへこみが残るむくみ
- 皮膚表面の静脈が目立つ状態
肺塞栓症を伴う場合には、以下の症状がみられることがあります。
- 息切れ、呼吸困難
- 胸の痛み
- 動悸
- 冷や汗
- 失神
- 咳、血痰
- ショック状態
3.検査
深部静脈血栓症が疑われる場合、症状やリスク要因を確認したうえで、血液検査や画像検査を組み合わせて評価します。
問診・診察
下肢の腫れや痛みの有無、左右差、手術歴、長期臥床、妊娠、がん、薬剤使用歴、長距離移動の有無などを確認します。
Dダイマー検査
血栓が体内で形成・分解された可能性を調べる血液検査です。陰性の場合は深部静脈血栓症の可能性が低いと判断されることがありますが、陽性のみで診断が確定するわけではありません。
下肢静脈超音波検査
静脈内の血栓の有無や血流の状態を確認する検査です。体への負担が比較的少なく、深部静脈血栓症の評価でよく用いられます。
造影CT検査
下肢や骨盤内の血栓、肺塞栓症の有無を確認するために行われることがあります。
MR静脈造影検査
CT検査が適さない場合や、より詳細な静脈評価が必要な場合に検討されることがあります。
静脈造影検査
他の検査で診断が難しい場合に行われることがあります。体への負担を考慮し、必要性を判断して実施されます。
凝固系検査
血液が固まりやすい体質や背景疾患が疑われる場合に、追加で行われることがあります。
4.治療
治療の目的は、血栓の進展や再発を抑えること、肺塞栓症を予防すること、後遺症を軽減することです。患者さんの状態、血栓の部位、肺塞栓症の有無、出血リスクなどを考慮して治療方針が決定されます。
抗凝固療法
血液が固まりにくくなる薬を用いる治療です。ヘパリン、ワルファリン、直接経口抗凝固薬(DOAC)などが使用されることがあります。治療期間は病状や再発リスクに応じて判断されます。
圧迫療法
弾性ストッキングや弾性包帯を用いて、下肢の血流を補助することがあります。使用の可否や開始時期は、血栓の状態を確認したうえで医師が判断します。
生活指導・再発予防
長時間同じ姿勢を避ける、適度に足を動かす、水分をこまめに取る、必要に応じて早期離床を行うなど、血流を滞らせない対策が検討されます。自己判断での足のマッサージは血栓を移動させる可能性があるため、実施時期や方法は医師に確認することが重要です。
肺塞栓症を伴う場合の治療
肺塞栓症を合併している場合は、深部静脈血栓症と肺塞栓症の治療を並行して行います。抗凝固療法を基本とし、重症度に応じて血栓溶解療法、カテーテル治療、下大静脈フィルター、外科治療などが検討されることがあります。
原因・リスク要因への対応
がん、凝固異常、妊娠、薬剤、長期臥床など、血栓形成に関係する背景因子がある場合は、それぞれの状況に応じた管理が行われます。
5.合併症
深部静脈血栓症では、血栓そのものによる症状だけでなく、血栓が移動することによる合併症や、治療に伴う注意点があります。
- 肺塞栓症
下肢などの血栓がはがれて肺の血管に詰まる状態です。息切れ、胸痛、失神、ショックなどを起こすことがあり、速やかな評価が必要です。 - 血栓の進展・再発
血栓が広がったり、治療後に再発したりすることがあります。原因の確認と継続的な管理が重要です。 - 血栓後症候群
血栓後に慢性的な下肢のむくみ、だるさ、痛み、皮膚の色調変化などが残ることがあります。 - 慢性的な静脈うっ滞
静脈の流れが悪い状態が続くことで、下肢の腫れや皮膚変化が続くことがあります。 - 抗凝固療法に伴う出血
抗凝固薬の使用中は、出血が起こることがあります。高齢、腎機能低下、消化管出血の既往、脳卒中の既往などがある場合は、薬の種類や量、治療期間を慎重に判断します。 - 重症肺塞栓症に伴う呼吸・循環不全
肺塞栓症が重症化した場合、呼吸状態や血圧が不安定になることがあります。
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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。
