腎がん(腎細胞がん)
1.疾患の概要
腎がんは、腎臓に発生する悪性腫瘍です。一般に「腎がん」と呼ばれるものは、尿を作る腎実質の細胞から発生する腎細胞がんを指します。尿が集まる腎盂に発生する腎盂がんとは、性質や治療方針が異なります。
腎がんは初期には症状が乏しく、健康診断や他疾患の検査で行われた超音波検査、CT検査などで偶然発見されることがあります。一方で、進行すると血尿、背中やわき腹の痛み、腹部腫瘤、全身症状、転移に伴う症状が出ることがあります。治療方針は、腫瘍の大きさ、位置、進行度、転移の有無、腎機能、年齢、合併症などを踏まえて検討されます。
2.原因と症状
腎がんの発症には、喫煙や肥満が関係するとされています。また、男性、40歳代以降、化学物質への曝露、フォン・ヒッペル・リンドウ病などの遺伝的要因が関係する場合もあります。ただし、明確な原因を特定できないこともあります。
代表的な症状
- 初期には自覚症状がほとんどない
- 健康診断や画像検査で偶然発見される
- 血尿
- 背中やわき腹の痛み
- 腹部のしこり、腫瘤
- 発熱
- 貧血
- 食欲不振
- 体重減少
- むくみ
- 高血圧をきっかけに発見される場合
- 赤血球数の増加や高カルシウム血症などを伴う場合
- 肺転移に伴う咳、息切れなどの呼吸器症状
- 肝転移に伴う肝機能異常
- 骨転移に伴う骨の痛み、病的骨折
- 脳転移に伴う神経症状
症状が出てから発見される場合は、進行していることもあるため、画像検査による評価が重要です。
3.検査
腎がんには、診断に用いられる明確な腫瘍マーカーは一般的にありません。画像検査を中心に、必要に応じて血液検査、尿検査、生検などを組み合わせて評価します。
腹部超音波検査
腎臓に腫瘍があるかを確認する検査です。健康診断などで偶然発見されることがあります。
CT検査
腫瘍の大きさ、位置、周囲への広がり、血管への進展、リンパ節や他臓器への転移の有無を評価します。造影剤を用いたCT検査が行われることがあります。
MRI検査
腫瘍の性状や、腎静脈・下大静脈など周囲組織への広がりを詳しく確認する目的で行われることがあります。
PET-CT検査
転移や再発の評価を目的として行われることがあります。
血液検査
腎機能、貧血、炎症反応、カルシウム値など、全身状態を確認します。治療前後の管理にも用いられます。
尿検査・尿細胞診
血尿の有無を確認します。腎盂尿管がんなど、ほかの尿路のがんとの鑑別に尿細胞診が行われることがあります。
腎生検
画像検査だけでは良性腫瘍との区別が難しい場合や、薬物療法の選択に病理診断が必要な場合に、超音波やCTで確認しながら針で組織を採取して調べることがあります。
病期評価
腫瘍の大きさ、腎臓周囲や血管への進展、リンパ節転移、肺・肝臓・骨などへの遠隔転移の有無を確認し、治療方針を検討します。
4.治療
治療は、がんの進行度、腫瘍の大きさや位置、腎機能、全身状態、合併症の有無などを踏まえて選択されます。
腎部分切除術
腫瘍部分とその周囲を切除し、可能な範囲で腎臓を温存する手術です。比較的小さな腫瘍や、腎機能を温存する必要がある場合などに検討されます。
腎摘除術
がんのある側の腎臓を摘出する手術です。腫瘍が大きい場合や、部分切除が難しい位置にある場合などに検討されます。反対側の腎機能が保たれているかを確認したうえで方針を決めます。
手術方法の選択
開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援手術などがあります。腫瘍の状態、手術の目的、患者さんの全身状態などを踏まえて選択されます。
監視療法
腫瘍が小さく、年齢や合併症などからすぐに治療を行うリスクが高い場合、定期的な画像検査で経過を見ることがあります。
局所療法
手術が難しい場合や小さな腎がんに対して、腫瘍に針を刺して凍結する凍結療法などが検討されることがあります。適応は腫瘍の大きさ、位置、全身状態などにより判断されます。
薬物療法
手術が難しい場合や転移を伴う場合には、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬などによる薬物療法が検討されます。病状により、複数の薬剤を組み合わせることがあります。
放射線療法
腎がんそのものに対する効果は限定的とされていますが、骨転移や脳転移による痛みや症状の緩和、進行抑制を目的として行われることがあります。
手術と薬物療法の組み合わせ
転移がある場合でも、病状によっては原発巣の切除や転移巣への治療と薬物療法を組み合わせることがあります。
5.合併症
腎がんでは、病気の進行に伴う合併症と、治療に伴う副作用・合併症があります。
- 遠隔転移
肺、肝臓、骨、脳などに転移することがあります。転移部位により、呼吸器症状、肝機能異常、骨痛、病的骨折、神経症状などが起こる場合があります。 - 血尿・貧血
腫瘍が尿路に近づく、または進行することで血尿が生じることがあります。出血や全身状態の変化により貧血を伴うことがあります。 - 腫瘍随伴症候群
発熱、体重減少、食欲不振、高カルシウム血症、赤血球数の増加など、腫瘍に伴う全身症状がみられることがあります。 - 腎静脈・下大静脈への進展
がんが血管内に進展することがあります。進展範囲に応じて、治療方針が変わる場合があります。 - 腎機能低下
腫瘍そのもの、腎摘除術、腎部分切除術、既存の腎疾患などにより、腎機能が低下することがあります。 - 手術に伴う合併症
出血、感染、尿漏れ、周囲臓器への影響、術後の腎機能低下などが起こることがあります。 - 局所療法に伴う合併症
針を刺して行う治療では、出血、痛み、周囲組織への影響などが起こることがあります。 - 薬物療法に伴う副作用
使用する薬剤により異なりますが、高血圧、疲労、下痢、皮膚炎、手足の皮膚症状などがみられることがあります。治療前に副作用と対応方法を確認することが重要です。
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この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。
