社会医療法人財団 池友会 福岡和白病院
Fukuoka Wajiro Hospital

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顔面けいれん

1.疾患の概要

顔面けいれんは、顔の筋肉を動かす「顔面神経」が過敏に刺激されることで、顔の片側に自分の意思とは関係なくぴくつきやけいれんが起こる病気です。医学的には「片側顔面けいれん」と呼ばれることが多く、目の周囲から始まり、頬、口元、あごへ広がる場合があります。


初期には「まぶたがぴくぴくする」程度の症状で始まることがありますが、進行すると目が閉じてしまう、口元が引きつる、会話や食事、運転、仕事に支障が出ることがあります。多くは命に直結する病気ではありませんが、症状が続くことで生活の質に影響することがあります。


顔面けいれんには、疲労やストレスで一時的に起こるまぶたのけいれん、眼瞼けいれん、チック、顔面神経麻痺後の異常運動など、似た症状を示す病気があります。そのため、症状の経過や画像検査を含めて原因を確認することが重要です。

2.原因と症状

顔面けいれんの主な原因は、脳の深い部分で顔面神経に血管が接触し、神経を圧迫することです。血管の拍動が神経に伝わることで、顔面神経が過敏に興奮し、顔の筋肉が繰り返し収縮すると考えられています。
原因・関連要因には以下があります。
  • 顔面神経への血管圧迫
  • 加齢に伴う血管走行の変化
  • 脳腫瘍などによる顔面神経の圧迫
  • 脳動静脈奇形などの血管病変
  • 顔面神経麻痺後の異常な神経再生
  • 原因が明確に特定できないもの

代表的な症状

主な症状は、片側の顔に起こる反復性のけいれんです。多くは目の周囲から始まり、徐々に頬や口元へ広がることがあります。

よくみられる症状には以下があります。

  • 片側のまぶたがぴくぴく動く
  • 片目が勝手に閉じる
  • 頬や口元が引きつる
  • 緊張、疲労、会話、食事などで症状が強くなる
  • 睡眠中にもけいれんがみられることがある
  • 目を開けにくく、歩行や運転に支障が出る
  • 人前で症状が気になり、外出や会話を避けるようになる
顔のしびれ、麻痺、聴力低下、めまい、頭痛、ふらつき、両側の症状などを伴う場合は、別の脳神経疾患が関係している可能性もあります。通常の顔面けいれんと異なる症状がある場合は、専門的な評価が必要です。

3.検査

顔面けいれんの診断では、症状の出方、発症時期、けいれんの部位、左右差、誘因、顔面神経麻痺の既往などを確認します。あわせて、脳や顔面神経周囲に原因となる病変がないかを調べます。

主な検査には以下があります。

問診・神経診察

けいれんの部位、頻度、広がり方、顔面の麻痺や感覚異常の有無、ほかの神経症状を確認します。

MRI検査

顔面神経と血管の接触・圧迫の有無、脳腫瘍、血管奇形、脳幹部の病変などを確認します。治療方針を検討するうえで重要な検査です。

MRA検査

脳血管の走行を確認し、顔面神経を圧迫している可能性のある血管を評価します。

CT検査

骨の構造や腫瘍性病変、手術前の解剖学的評価などを目的に行われることがあります。

筋電図検査

顔面筋の異常な電気活動を調べる検査です。診断補助や他の疾患との鑑別に用いられる場合があります。

眼科的検査・耳鼻咽喉科的検査

眼瞼けいれん、ドライアイ、顔面神経麻痺後の症状、聴力や平衡機能の評価が必要な場合に行われます。
検査結果だけで治療方針が決まるわけではありません。けいれんの程度、生活への影響、薬や注射治療の効果、年齢、全身状態などを総合的に判断します。

4.治療

顔面けいれんの治療は、症状の軽減と日常生活への支障を減らすことを目的に行います。治療方針は、症状の程度、原因、画像所見、年齢、持病、希望する生活スタイルなどを踏まえて検討します。

主な治療には以下があります。

経過観察・生活上の工夫

症状が軽く、日常生活への支障が少ない場合は、経過をみることがあります。疲労や緊張で症状が強くなる方では、睡眠不足や過労を避けることが症状管理に役立つ場合があります。

薬物療法

神経の興奮を抑える薬や筋肉の緊張を和らげる薬が使用されることがあります。ただし、効果には個人差があり、眠気、ふらつき、肝機能障害、薬疹などの副作用に注意が必要です。

ボツリヌス療法

けいれんしている顔面の筋肉にボツリヌス毒素製剤を注射し、筋肉の過剰な収縮を抑える治療です。効果は一定期間持続し、その後は必要に応じて繰り返し治療を検討します。
副作用として、まぶたが下がる、目が乾く、顔の筋力低下、表情の左右差、注射部位の内出血などが起こることがあります。

微小血管減圧術

顔面神経を圧迫している血管が原因と考えられる場合に、耳の後ろ側から開頭し、神経と血管の接触を解除する手術です。原因に対する治療として検討されます。
薬物療法やボツリヌス療法で十分な改善が得られない場合、症状が強く生活への影響が大きい場合などに適応を判断します。

原因疾患への治療

腫瘍や血管奇形などが原因の場合は、その疾患に応じた治療を検討します。

治療にはそれぞれ利点と注意点があります。症状を一時的に抑える治療と、原因に対して行う治療では目的が異なります。実際の治療選択は、専門医による診察と検査結果をもとに判断されます。

5.合併症

顔面けいれんは、直接生命に関わることは多くありませんが、症状が続くことで日常生活に影響することがあります。

主な合併症・関連する問題には以下があります。

  • 視界の妨げ
    まぶたが勝手に閉じることで、読書、歩行、運転、仕事に支障が出ることがあります。
  • 生活の質の低下
    人前で症状が気になる、会話や食事がしづらいなど、社会生活に影響することがあります。
  • 眼の乾燥や疲れ
    まばたきや眼周囲の筋肉の異常な動きにより、眼の違和感や疲労感が出る場合があります。
  • 精神的負担
    症状が長く続くことで、不安、緊張、外出を控えるなどの心理的負担につながることがあります。
  • 背景疾患の進行
    まれに腫瘍や血管病変が原因となる場合があるため、症状の変化や神経症状を伴う場合は注意が必要です。

治療に関連する合併症として、ボツリヌス療法では眼瞼下垂、顔面の筋力低下、ドライアイ、内出血などが起こることがあります。微小血管減圧術では、聴力障害、顔面神経麻痺、めまい、髄液漏、感染、出血、脳梗塞、けいれん、麻酔に伴う合併症などが起こる可能性があります。

合併症の起こりやすさは、治療方法、年齢、全身状態、神経や血管の位置関係によって異なります。治療前には、期待される効果だけでなく、起こり得るリスクや再発の可能性について説明を受けることが重要です。

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※注釈
この記事は、一般的な疾患情報をまとめたものです。治療方法や検査内容は医療機関によって異なる場合があります。ご自身の症状や治療についてのご相談は、診察時に医師にお尋ねください。